プロローグ
化学には未知の可能性があります。無機化学においても”未踏峰”が数多く残されています。それとは反対に、サイエンスを学べば学ぶほどその奥深さに圧倒されることもあります。例えば、すばらしい研究を思いついても実現するには莫大な予算やプロの博士集団が何年もかかる話かもしれない。しかし、化学では、あなたが独立した研究者として未知の領域を開拓できる可能性が十分にあります。金沢大学では、自分自身で新物質を創り上げ、新しい化学を展開する事が可能です。
無機化学の未踏峰化学を習ったことがある人に、「炭素原子を6個以上含む分子の例を知ってますか?」と聞いてみてください。ベンゼン、トルエン、フラーレン、いろいろあります。化学を学習した受験生にも容易な質問です。それでは、「6個以上の金属を含む分子の例を知ってますか?」という質問はいかがでしょう。これは、専門の大学院生にも難問で、そんな例を思いつくなら研究者としての才能があります。Cr6, Fe6??が存在するかどうかわからないかもしれませんが、不可能は無いのです。もし、そのような化合物を創り出すことができれば、非常に重要な金属化合物の前駆体となるはずです。我々は、なかでもポリオキソメタレートと呼ばれる金属酸化物分子の化学を開拓しています。